「ぼくは猟師になった」を読んで考えること
千松信也 著
こんな方にこそ読んでほしい!
・狩猟に関心のある方
・食について考えたい方
・自然が好きな方
スーパーには精肉された牛肉、豚肉、鶏肉が並び、それらが生きていたことなんて想像されず食卓に並んでいる。当たり前になってしまっているけど、それでいいのか。
僕はもともと狩猟に関心があり本書を手に取りましたが、改めて「食」について、「命」について考えるきっかけとなりました。
また自然や狩猟の魅力や保護の重要性も学ぶことが出来ます。
文章だけでなく実際に獲物をさばいている写真も載せられており、よりリアルに情報が伝わってきます。
わな猟と網猟
狩猟と聞くとライフルを使った狩りをイメージする方が多いかもしれませんが、著者の千松さんは「わな」や「網」をつかった猟をしています。
狩猟免許には4種類あります。
・第一種銃猟免許(散弾銃、ライフル銃)
・第二種銃猟免許(空気銃)
・わな猟免許
・網猟免許
それぞれの猟に適した獲物や方法があり、ひとくくりに「狩猟」とはいってもやってることは大きく違います。
わな猟とは
名前の通り罠をつかった猟で、主要な二つとして「くくりわな」と「箱わな」があります。くくり罠はワイヤーで獲物の一部(主に脚)を括って捕える手法で、箱わなは檻や箱の中に獲物が入ったら扉を閉めて閉じ込めることでとらえる手法です。
本書で主に使われているのは前者のくくり罠で、千松さんはこの手法で何十匹とシカやイノシシを捕えていました。
学びたい方はこちら「わな猟の教科書 第2版」
|
網猟とは
こちらも名前の通り網をつかった猟で、獲物は主に鳥類です。鴨やスズメを捉えるようです。鴨やスズメそれぞれに適した網や手法、時間帯があるようです。警戒心の強い鴨は夕方から夜にかけて、すずめは日中に猟が行われます。
すずめの肉は食べたことがないのですが、読んでいてとても食べてみたくなりました。同じ鳥類のため、鶏肉に似た味で柔らかく淡泊な味だとか。
けもの道なんて見てわかるのか
動物たちは自由奔放に歩き回っているわけではなく、いくつかの決まったルート「けもの道」を通り生活しているようです。わな猟(くくりわな)ではその獣道を見分け、適した場所に違和感なくしかけることが求められます。
けもの道は、普通の人が山を歩いても気づかないくらい目立たない道ですが、慣れると簡単にわかるようになります。
「ぼくは猟師になった p84より引用」
本当にわかるんだろうか(笑)と思いますが、いくつか手がかりがあるようです。
フンや足跡、枝の折れた後などから見つけるようですが、イノシシの場合であれば泥浴びをするヌタ場やドングリなどの食べ物が多い場所につながってるとのことでした。
山を観察して痕跡を見るだけでその場で何があったのか読み解く力が付くにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。目指していきたいです(笑)
獲物を無駄なく活用する
どのような調理法が合うのか、保存食(干し肉や燻製)にするための方法が書かれており、食以外でも革なめしの方法や、骨、角の使い道などが書かれていました。
命を奪うからこそ使えるものはすべて使うべきであるという考え方は猟師として持つべきものだと感じました。
具体的な方法は是非本書を手に取って読んでみてほしいと思います。写真やイラストもありイメージしやすいです。
|
まとめ
もともとわな猟に関心があった自分にとって本当に読んでよかった本でした。狩猟の魅力だけでなく、具体的な知恵や手法、狩猟への考え方などを深く学ぶことが出来ました。少しでも気になった方は是非本書を手に取ってみてほしいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。